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救援 「証拠フィルムがすり替っていた」1992年8月10日

証拠フィルムがすり替っていた

田園調布資産家殺人事件 被告人折山敏夫

起訴きれて以来七年、目下上告中のこの事件は、犯行と私とを結びつける直接証拠は何もない上、自白調書もないままで有罪認定されたという特異なもの。最大の争点は五年前に発見されていた変死体が果たして被害者Sと同一なのかどうかという点にある。両者を同一だと認定した一・二審の根拠はただひとつ、Sの治療をしたという歯科医師Iの提出した、S名義のX線フィルムと変死体の歯が似ていることだった。ところが最近になって民事出廷したIは、証拠物のX線フィルムの写真を示されて、 「このフィルムの正しい位置 にL・Rの文字が入っているが、これは自分の書いたものではない。自分の提出したものには、逆の位置に赤マジックで右・左と間違って書き込んであるはずだ」との意味の証言をした。証拠物フィルムにはそのような文字は記入されていない。即ちこの証拠物 はIの提出したフィルムとは別のものということになる。

なおIの証言は続き「八月二十七日の午前中から昼にかけて刑事がフィルムを持って訪ねてきて、左右の位置が逆のようだから再検討して欲しいと言ってきた」という。そしてこの日付で、Sの歯のデータを変更する旨のIの供述調書が作成されている。刑事の訪れたI医院は東京渋谷だ。

一方、この同日の昼すぎ、 福岡市の歯科医のところへ逆の以置に右・左の文字の入ったフィルムを持って刑事が訪れていることが裁判記録に残っているのだ。

同日同時刻に東京と福岡の両方に一枚のフィルムが存在することはありえない。少なくともどちらか一方ののフィルムはニセモノだと断定できよう。捜査当局がS名義のニセフィルムを握造していたことは明白である。

現在、証拠物として裁判所に保管されているフィルムが捏造品であることは疑う余地がない。一・二審はこのニセモノを基にして身元鑑別鑑定を行ったのだ。

まるで権力犯罪を絵に書いたように露骨な証拠のデッチ上げ事実が思わぬところで尻尾を出した。変死体とSとが 同一であることに合理的な疑いが生じたのだから、最高裁は勇気をもってこの事件に逆転無罪の宣告をしてくれるよう願ってやまない。

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